星降るレストラン~ちょっといい話~最終話
マスターが、「どうかされましたか?」と尋ねると、ご婦人は「主人は一ヶ月前に亡くなりましたが、亡くなる前に、ここにお前とまた行きたい、美味しかった」と言われていたそうです。
一人前の主人の分は、仏壇にあげて、主人と一緒にまた頂きます、といわれそして主人からも、私からも楽しい思い出を作って頂いてありがとうございました、と言われ帰っていかれた。
それからそのご婦人は二度と見かけることはありませんでしたが、マスターの心の中でいつまでも老夫婦は生き続けました。それから半年後このレストランは建物の老朽化によって、大家さんからわずかの立ち退き料をもらい、ひっそりと街角から灯かりが消えました。でもマスターは思いました。
近頃飲食店を星の数や流行で評価しているようですが、どんな一流レストランやホテルより星の数は多かったと思う。なぜなら天国であのおじいさんから夜空いっぱいの星を頂いたから。どうか、おばあさん残りの人生精一杯おじいさんの分まで生きてください。
そしてマスターも夜空に誓ったのです。残りの人生を精一杯生きて、星のように輝いていようと・・・
星降るレストラン~ちょっといい話~ the END
星降るレストラン~ちょっといい話4~
それから一年、今年もまた去年と同じクリスマスがやってきた。今年もクリスマスソングが流れ、街は閑散としていた。そんな日の夕方、いつもの老夫婦の婦人だけが現れて、いつものステーキを二人前注文し、テーブルについた。なぜか元気が無く、いつまでたってもご主人は現れず、老夫婦の婦人だけだったので、「二名分お出ししていいですか?」と聞くと、ウエイトレスの若い子にどうぞと言われたので、後で、ご主人が見えるだろうと思った。ステーキが出来上がると、ご婦人は一人でゆっくり時間をかけて食事をされ、食べ終わると「主人は来ませんので、主人の分は持ち帰りにして下さい」と涙顔で目を真っ赤にして言われた。
つづく・・・
星降るレストラン~ちょっといい話~3
この老夫婦は、「マスターいつものステーキ」と注文をして、またなにやら袋から出してにこにこしていた。
しばらくすると、先程注文したいつものステーキはでてきた。
「マスターここのステーキが食べたくて、遠くからきているのだよ」高くておいしい店はいくらでもあるが、安くて美味しい店はそう無いことをこの店のマスターも自慢にしている。老夫婦はこの店まで、電車で一時間かけて一月に一度は必ずやってくる。どうしてかというと、以前この町で老夫婦の子供が小学校の教師をしていたそうで、子供の所に来た時に、たまたまこの店に立ち寄ってから来るようになったそうだ。子供が親元の学校に勤務するようになっても、こうして時々味が忘れられず通うようになったようだ。来る度に、孫の話をマスターやウェイトレスの若い子に自慢しているようだった。
続く
星降るレストラン~ちょっといい話~ 2
この老夫婦は、郊外に大型のショッピングセンターが出来ても、この寂れた商店街まで足を伸ばしてくれる、大事な客である。この商店街も、他の地方都市で見られるように、郊外の大型店に客が流れてしまい、街は閑散としている。街中は、年寄りと学生しか歩いていない。数年前までは、小さな子供ずれの姿もあったが、今はほとんど見かけなくなった。もうすぐクリスマスというのに、クリスマスソングだけが、寒々と流れ、通りは、人影もまばらである。この街でも都市計画があり、郊外の大型店に客が流れて行かないように、大型のビルを建てる計画はあるようだが、この様な、状況の中ではいつになるかわからない。これは時代の流れでどうすることも出来ない気もする。
・・・続く
星降るレストラン~ちょっといい話~ 1
初めまして、私ちょいわるおじさんです。今後、ちょこちょこと書き溜めた小説をアップさせて頂きます。お時間あられましたら、ご愛読宜しくお願い致します。
「星降るレストラン」~ちょっといい話~ 1
12月のクリスマスイブの二日前、九州の米軍基地のある商店街のレストランで、二人の老夫婦が、なにやら小さなミニカーを2.3個並べて、にこにこしながら眺めている。この店のマスターが、客の老夫婦に言った「今日は、なにか良い事でもあったのですか?」客の老夫婦が「今日は、孫の誕生日でしてね、クリスマスの買い物を一緒にしようと出てきたんですよ。」と、小さなミニカーを大事そうにテーブルの隅においた。
続く・・・