星降るレストラン~ちょっといい話4~
それから一年、今年もまた去年と同じクリスマスがやってきた。今年もクリスマスソングが流れ、街は閑散としていた。そんな日の夕方、いつもの老夫婦の婦人だけが現れて、いつものステーキを二人前注文し、テーブルについた。なぜか元気が無く、いつまでたってもご主人は現れず、老夫婦の婦人だけだったので、「二名分お出ししていいですか?」と聞くと、ウエイトレスの若い子にどうぞと言われたので、後で、ご主人が見えるだろうと思った。ステーキが出来上がると、ご婦人は一人でゆっくり時間をかけて食事をされ、食べ終わると「主人は来ませんので、主人の分は持ち帰りにして下さい」と涙顔で目を真っ赤にして言われた。
つづく・・・
星降るレストラン~ちょっといい話~3
この老夫婦は、「マスターいつものステーキ」と注文をして、またなにやら袋から出してにこにこしていた。
しばらくすると、先程注文したいつものステーキはでてきた。
「マスターここのステーキが食べたくて、遠くからきているのだよ」高くておいしい店はいくらでもあるが、安くて美味しい店はそう無いことをこの店のマスターも自慢にしている。老夫婦はこの店まで、電車で一時間かけて一月に一度は必ずやってくる。どうしてかというと、以前この町で老夫婦の子供が小学校の教師をしていたそうで、子供の所に来た時に、たまたまこの店に立ち寄ってから来るようになったそうだ。子供が親元の学校に勤務するようになっても、こうして時々味が忘れられず通うようになったようだ。来る度に、孫の話をマスターやウェイトレスの若い子に自慢しているようだった。
続く
星降るレストラン~ちょっといい話~ 2
この老夫婦は、郊外に大型のショッピングセンターが出来ても、この寂れた商店街まで足を伸ばしてくれる、大事な客である。この商店街も、他の地方都市で見られるように、郊外の大型店に客が流れてしまい、街は閑散としている。街中は、年寄りと学生しか歩いていない。数年前までは、小さな子供ずれの姿もあったが、今はほとんど見かけなくなった。もうすぐクリスマスというのに、クリスマスソングだけが、寒々と流れ、通りは、人影もまばらである。この街でも都市計画があり、郊外の大型店に客が流れて行かないように、大型のビルを建てる計画はあるようだが、この様な、状況の中ではいつになるかわからない。これは時代の流れでどうすることも出来ない気もする。
・・・続く